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2. 工事概要
2−1. 被災状況
既設岸壁は昭和初期に建設されたRCのL型ケーソンで、被災により岸壁全周にわたり1〜2m前傾沈下した。被災ケーソンと新設岸壁の断面をFig.-1に示す。中突堤の全体配置をFig-2に示す。
2−2. 復旧方針
中突堤には、被災した岸壁の法線から約10mのところに建設中のホテルがあり、被災ケーソンの撤去はこのホテルの基礎に悪影響を及ぼすため、復旧は被災ケーソンの前面に岸壁を新設する方法に決定した。また、旅客ターミナルの早期運営開始のため、岸壁施設の部分供用を図りながら復旧する方針がとられた。さらに、対岸の高浜岸壁までの距離が約200mと短く、頻繁に離着岸する旅客船の航路、回頭域を確保し、隣接工区とも作業海域を供用するため、前出しする岸壁の堤体幅及び起重機船などの作業占有海域が狭く、海上作業期間が短い工法を採用することにした。工法比較の結果、堤体幅がケーソンの約2/3、作業占有海域、海上作業期間がケーソンの半分となるジャケット式岸壁を選定した。施工にあたっては、工事区域は神戸の観光のメインスポットであり、第三者の安全対策、騒音、振動、夜間休日の施工には計分配慮するものとした。
2−3. 工事内容
工事は、被災岸壁外周に工場で製作された鋼製ジャケット16基(重量50〜426トン)を大型起重機船で仮受用H杭の上に据え付け、鋼管杭と鋼矢板を打設する。次に、上部工のプレキャスト版を設置し、裏込、付属物取付、舗装をおこなって完成する。施工数量をTable−1に示す。ジャケット製作から舗装まで含めた全体施工期間は18ヵ月である。

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Fig-1 Typical section of the jacket type pier (-9m)

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Fig-2 Over view of Nakatottei Pier

Table-1 Quantities of the restoration work

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3. ジャケットの設計
3−1. ジャケットの特徴
ジャケット構造は、水中部のトラス構造の剛性が高いため、杭の曲げモーメント、変位が他の杭式の構造物に較べ小さい。また、高次の不静定構造のためエネルギー吸収量が大きく、高靭性で耐震性に優れている。従って、大水深や、水平荷重の大きい場合に合理的な基礎構造となる。また、杭基礎のため地盤沈下の影響がすくないことも特徴である。製作面では、工場製作なので高品質、高精度であること、軽量で大型化できる点があげられる。施工面では、陸上加工ヤードで立体トラスを完成して台船で据付現場まで海上輸送できるため、大ブロックの一括架設が可能となるほか、大水深、軟弱地盤、悪海象でも比較的施工しやすく短時間で据付できることから現場での施工工期が短いことが特徴である。

 

 

 

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